「ワイングラスって、どこを持つのが正解なんだろう?」——食事会やデートの前に、ふとそんな不安がよぎることはありませんか。注がれるときに持ち上げるべきか、乾杯でぶつけていいのか、細かい作法ほど自信が持てないものです。
先に結論をお伝えします。フォーマルな場では「ステム(脚)」を持つのが基本です。ボウル(ワインが入るふくらみ部分)を手で包むと体温が伝わって温度が上がりやすく、指紋もつきやすいためとされています。とはいえ、これは絶対のルールではなく、場の雰囲気に合わせて構いません。「迷ったらステムを持つ」さえ覚えておけば、たいていの場面で恥をかくことはありません。
以下では、持ち方の選択肢とそれぞれの理由、乾杯や注がれるときの作法まで、初心者がつまずきやすいポイントを順に整理していきます。
ワイングラスはどこを持つ?——3つの持ち方と使い分け
ワイングラスの持ち方には、大きく分けて次の3パターンがあります。それぞれ「どこを持つか」と「向いている場面」が異なります。
| 持つ場所 | 持ち方の特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ステム(脚) | 細い脚を指でつまむ/軽く握る。最も一般的 | フォーマルな食事会・レストラン・迷ったとき |
| 底(フット/プレート) | 底の縁を親指・人差し指・中指で支える | テイスティング・ソムリエ的な所作・写真映え |
| ボウル(ふくらみ) | ふくらみ部分を手で包む | カジュアルな場・温度を少し上げたいとき |
それぞれを少し補足します。
ステム(脚)を持つ——迷ったらこれが基本
最も一般的で、フォーマルな場でも安心なのがステム(脚)を持つ持ち方です。親指と人差し指でステムを軽くつまみ、残りの指を添えるか、軽く握るように持ちます。
ステムを持つ理由は主に2つあるとされています。
- ワインの温度を保ちやすい:手のひらの熱がボウルに伝わらないため、せっかく適温に整えたワイン(とくに冷やした白やスパークリング)の温度が上がりにくいと言われています。
- ボウルが汚れにくい:ボウルに指紋がつかないので、ワインの色や輝きを目で楽しみやすく、見た目も清潔に保てます。
初心者がまず覚えるべきは、この持ち方ひとつで十分です。ワインの適温や温度の保ち方そのものについては、ワインの飲み頃温度の早見表もあわせて読むと、なぜ温度を上げたくないのかが腑に落ちます。
底(フット/プレート)を持つ——スマートだが上級者向け
グラスの底(フット、またはプレートとも呼ばれる平らな部分)の縁を、親指・人差し指・中指で軽くつまむように支える持ち方です。海外のソムリエやテイスティングの場でよく見られ、所作としては最もスマートで「通」な印象を与えるとされています。
ただし、支える面積が小さく不安定で、こぼしやすいため、慣れが必要です。「正式な持ち方の一つ」ではありますが、初心者が無理に真似する必要はありません。まずはステムで安定して持ち、慣れてきたら試してみる、という順番がおすすめです。
ボウルを持つ——カジュアルな場ならOK
ボウル(ふくらみ部分)を手で包むように持つ方法は、フォーマルな場では避けたほうが無難とされていますが、カジュアルな飲み会や家飲みでは問題ありません。
また、赤ワインが冷えすぎているときなどに、あえて手のひらで包んで少し温めるという使い方もあります。つまりボウルを持つこと自体が「間違い」なのではなく、温度管理や見た目を気にするフォーマルな場では避ける、という整理になります。
なぜステムを持つのが「マナー」とされるのか——理由を知ると応用がきく
「とにかくステムを持て」と覚えるだけでも実用上は困りませんが、理由を知っておくと、状況に応じて自分で判断できるようになります。マナーの背景には、たいてい合理的な理由があります。
ステムを持つことが基本とされる背景は、次のように整理できます。
| 観点 | ステムを持つ理由 |
|---|---|
| 温度 | 手の熱を伝えず、冷やした白・泡の適温をキープしやすい |
| 見た目 | ボウルに指紋がつかず、ワインの色・輝きを美しく楽しめる |
| 香り | ボウルに余計な熱や手のにおいが移らず、ワイン本来の香りを感じやすい |
| 安定感 | 重心の近い脚を持つことで、ステムを持つほうがグラスを安定させやすい場合も多い |
逆にいえば、温度や見た目を気にしなくていい場面(カジュアルな家飲みなど)では、ボウルを持っても実害はほとんどないということです。マナーは「相手や場に配慮するための型」であり、絶対的な禁止事項ではありません。この感覚をつかんでおくと、堅苦しさから解放されてワインを楽しめます。
ワインの香りや味の感じ方そのものに興味がわいたら、渋み・酸味などワインの味わいの基本もあわせてどうぞ。グラスの扱いと味わいの理解がつながると、ぐっと楽しくなります。
乾杯のマナー——グラスはぶつけない?目線は?
食事会で最初に訪れる関門が「乾杯」です。ここでもいくつか押さえておくと安心なポイントがあります。
グラス同士は強くぶつけない
ワイングラス、とくに薄手のものは欠けやすいため、フォーマルな場ではグラス同士を強くぶつけないのが一般的なマナーとされています。
スマートなのは、グラスを目の高さあたりに軽く掲げ、相手と視線を合わせて「乾杯」と言うだけの所作です。音を立ててぶつける必要はありません。
どうしても軽く合わせたい場面(カジュアルな集まりなど)では、ボウルの下のほう同士を優しく当てると、縁同士を当てるより割れにくいと言われています。
持つ場所は乾杯のときもステムが無難
乾杯の瞬間も、基本はステムを持ったままで構いません。底を持つ所作はスマートですが、乾杯のように軽く動かす場面では不安定になりやすいので、初心者はステムが安心です。
グラスを持ち上げる高さ
掲げる高さは「目の高さあたり」が目安とされますが、全員で軽く掲げて視線を交わせれば十分です。高く掲げすぎたり、低く構えすぎたりせず、その場の人に合わせるのがいちばん自然です。
注がれるとき・注ぐときのマナー
注いでもらうときはグラスを置いたまま
ワインを注いでもらうとき、ビールや日本酒のようにグラスを持ち上げる必要はありません。ワインはテーブルに置いたまま注いでもらうのが基本マナーとされています。持ち上げると、注ぐ側が量を加減しにくくなるためです。
注いでもらったら、軽く会釈をする、あるいは「ありがとうございます」と一言添えると丁寧です。お店でソムリエやスタッフが注いでくれる場合も同様です。
注ぐ量はグラスの3分の1程度
自分や相手のグラスに注ぐときの量はボウルの3分の1程度が目安とされています。なみなみと注がないのは、グラスの中でワインを回して(スワリング)香りを開かせる空間を残すためと言われています。よかれと思って注ぎすぎないよう気をつけると、ぐっと様になります。
ボトルの注ぎ方
自分で注ぐ場合は、ラベルが見えるようにボトルを持ち、注ぎ終わりにボトルを軽く回してしずくが垂れるのを防ぐと、テーブルクロスを汚さずスマートです。グラスにボトルの口を付けず、少し離して注ぎます。
口紅・指紋など見た目を保つ小ワザ
細かいことですが、見た目を整えると印象が変わります。
- 口紅:飲む前に口元を軽くナプキンで押さえておくと、グラスに口紅が移りにくくなります。同じ位置から飲むようにすると跡が一カ所にまとまり、きれいに見えます。
- 指紋:ステムや底を持てば、ボウルに指紋がつきません。気になる人ほどステム持ちが向いています。
- 拭き直さない:自分のグラスが少し汚れても、布で拭き直す必要はありません。そのまま飲んで問題ありません。
こうした所作は「完璧にやらなければ」と気負う必要はなく、知っておくと自信を持って振る舞えるという程度のものです。
飲酒についてのお願い:お酒は適量を楽しみましょう。妊娠中・授乳中の方、運転前、服薬中の方の飲酒は避けてください。アルコールの影響には個人差があります。
よくある質問
Q. ワイングラスはステム(脚)とボウルのどちらを持つのが正解ですか?
フォーマルな場ではステム(脚)を持つのが基本とされています。ボウルを手で包むと体温が伝わって温度が上がりやすく、指紋もつきやすいためです。一方、カジュアルな場やワインを温めたい一部のケースではボウルを持つこともあり、絶対的なルールではありません。迷ったらステムを持っておけば無難です。
Q. ワイングラスの底(プレート)を持つのはマナー違反ですか?
マナー違反ではありません。底(フット/プレート)の縁を親指・人差し指・中指で軽く支える持ち方は、海外のソムリエやテイスティングの場でも見られる正式な持ち方の一つとされています。ただし不安定で慣れが必要なため、初心者はまずステムを持つのが扱いやすく安心です。
Q. 乾杯のときワイングラスはぶつけてもいいですか?
ワイングラス、とくに薄手のものは欠けやすいため、フォーマルな場ではグラス同士を強くぶつけないのが一般的なマナーとされています。グラスを目の高さに軽く掲げて「乾杯」と言い、視線を合わせる程度で十分です。カジュアルな場で軽く合わせる場合は、ボウルの下のほうを優しく当てると割れにくいと言われています。
Q. ワインを注いでもらうとき、グラスは持ち上げるべきですか?
ワインの場合は、グラスをテーブルに置いたまま注いでもらうのが基本マナーとされています。ビールや日本酒のようにグラスを持ち上げる必要はありません。持ち上げると注ぐ側が量を加減しにくくなるためです。お礼に軽く会釈をしたり、「ありがとうございます」と一言添えると丁寧な印象になります。
Q. ワイングラスに口紅や指紋がついたときはどうすればいいですか?
飲む前に口元を軽くナプキンで押さえておくと、口紅がグラスに移りにくくなります。同じ位置から飲むようにすると跡が一カ所にまとまり、見た目もきれいです。指紋を避けたいときはステムや底を持つようにします。気になっても自分のグラスを布で拭き直す必要はなく、そのまま飲んで問題ありません。
まとめ
ワイングラスのマナーは、いくつかの「型」を知っておけば難しくありません。要点を振り返ります。
- 持ち方は迷ったらステム(脚)。温度を保ち、指紋をつけず、見た目もきれい。
- 底(プレート)を持つのもスマートな正式な持ち方だが、不安定なので慣れてから。
- ボウルを持つのはカジュアルな場ならOK。冷えすぎた赤を少し温めたいときにも。
- 乾杯はグラスを強くぶつけず、目の高さに軽く掲げて視線を合わせる。
- 注がれるときはグラスを置いたまま、注ぐ量はボウルの3分の1程度。
マナーは相手や場への配慮の「型」であって、縛りではありません。基本を押さえたら、あとは肩の力を抜いてワインそのものを楽しんでください。
そして、所作とあわせてグラス選びにも興味がわいたら、初心者がまず1脚そろえるなら何がいいかをまとめたワイングラスの選び方ガイドが役立ちます。扱いやすいグラスを選ぶこと自体が、きれいな所作への近道でもあります。
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